【水道水が危ない!?】トリハロメタンって知ってる?

トリハロメタンとは何なのでしょうか?

トリハロメタンという物質の名前を聞いたことがありますか? 日常生活の中ではあまり聞いたことがないかもしれません。しかし、水質汚染の話になるとトリハロメタンのことをよく耳にします。

では、トリハロメタンとは何なのでしょうか?

今回はトリハロメタンについて解説をいたします。

 

水道水中のトリハロメタンの発見

1972年のオランダ。Rook博士はライン川から採水している水道水より、トリハロメタンの一種であるクロロホルムを検出しました。その2年後の1974年、東京衛生研究所は、浄水場で塩素消毒した水にクロロホルムが多いことを確認しました。

クロロホルムは発がん性物質として疑われている物質です。細菌やウイルスを殺菌するために使う塩素によって、発がん性物質が浄水場内で生成されるという事実は、水道業界にとっては大きな衝撃でした。

1981年3月、当時の厚生省(現厚生労働省)は「当面の制御目標値を総トリハロメタンの年間平均値で0.1㎎/L以下とすること」と定めました。

 

トリハロメタンとは

水道水中のトリハロメタンの発見

 

トリハロメタンはメタンを構成する、4つの水素原子のうち、3つがハロゲンに置換したものの総称です。「トリハロメタン」の「トリ」は3つという意味あり、「ハロ」はハロゲン略です。その中でも存在比率の高いのが、クロロホルムです。クロロホルムは麻酔薬として用いられていましたが、現在は副作用として、強い肝臓障害、腎障害、不整脈を引き起こしてしまうことが明らかになっています。そのため、現在はまったく使用されていません。

トリハロメタンにはクロロホルムの他、フルオロホルム、クロロジフルオロメタン、プロモジクロロメタン、ジブロモクロロメタン、プロモホルム、ヨードホルムがあります。

このうち、クロロホルムおよびプロモクロロメタンは、国際がん研究機関(IARC)が発表している発がん性リスク一覧では、Group 2B(人に対する発がん性が疑われる)に入っています。このGroup 2Bにはクロロホルムやプロモクロロメタンの他に、コーヒー酸(カフェイン酸)も含まれています。

 

 

水道水中の総トリハロメタンの生成

トリハロメタンとは

 

水道水に発生する総トリハロメタンは、水道水の原水を浄水処理する過程で発生します。

水中に存在するフミン酸やフルボ酸などの有機物が、塩素消毒される過程で生成される消毒副生成物質がトリハロメタンです。

フミン酸とフルボ酸は、ともに植物などが微生物により分解され形成された最終生成物で、「腐食物質」と呼ばれています。フミン酸は、酸で沈殿する赤褐色ないし黒褐色を呈しており、汚れた河川の褐色は、この腐食物質が主な原因です。

水源の汚れがひどくなり、消毒塩素の使用量が増えれば、おのずと総トリハロメタンは増加していきます。

 

トリハロメタンと煮沸

トリハロメタンは短時間の煮沸では除去ができません。むしろ短時間の煮沸では、直後に一時的に濃度が濃くなってしまいます。しかし、3分以上の煮沸により濃度は半減し、10分の煮沸でほとんど消滅します。

 

日本の総トリハロメタンの基準値は厳しい

厚生労働省

 

日本における総トリハロメタンの基準値は、世界保健機関(WHO)ガイドラインより非常に厳しい値となっています。

厚生労働省が定めている水道水の「水質基準項目と基準値(51項目)」では次のように定められています。

・ 総トリハロメタン-0.1mg/リットル以下(下記の合計)

・クロロホルム - 0.06 mg/リットル以下

・ジブロモクロロメタン - 0.1 mg/リットル以下

・ブロモジクロロメタン - 0.03 mg/リットル以下

・ブロモホルム - 0.09 mg/リットル以下

 

総トリハロメタンは、0.1mg/リットル以下と定められています。これがどれくらいの量なのかと言うと、平均体重の人が1日2リットルの水を一生飲み続けても、発がんの可能性は10万人に1人以下という量です。喫煙による、発がんリスクの数百倍分の一です。

 

浄水場の取り組みによるトリハロメタン低減化

浄水場の取り組みによるトリハロメタン低減化

 

トリハロメタンが確認されて以降、日本の水道業界は、トリハロメタンの低減化のための努力をしてきました。現在日本の水道水に含まれる総トリハロメタンの数値は、世界保健機関より低い、厚生労働省の基準値の、さらに半分以下となっているケースが多いです。

トリハロメタン対策の浄水場の取り組みとして、粉末活性炭処理と粒状活性炭処理があります。活性炭処理の原理は、水と活性炭を接触させると、水に溶けにくい物質ほど活性炭に吸着するという性質を利用しています。この原理で、水中に溶け込んだ臭いの元となる有機物やトリハロメタンを取り除きます。

 

粉末活性炭は、カビ臭やトリハロメタンの濃度が異常に高くなったときに、応急的な対策として使用されます。粉末活性炭は1回限りの使い捨てで、最終的に汚泥と一緒に処理されます。

粒状活性炭は、専用の吸着処理施設と再生処理が必要となります。ただ、高温水蒸気による活性炭再生処理を行うため、再生ロスが少なければランニングコストは安くなります。

 

そして、今トリハロメタン対策として最も効果が期待されているのは、オゾンと生物活性炭を用いた高度浄水処理です。

通常の浄水処理は、凝集沈殿とろ過等を組み合わせます。高度浄水処理は、通常の浄水処理に加え、オゾン処理、生物活性炭処理を施す処理です。

オゾンは、空気中の酸素が2つの酸素原子からできているのに対し、3つの酸素原子からできています。オゾンは気体ですが、非常に強い酸化力を持っています。そのため、殺菌、脱臭、脱色、有機物の分解に最適です。オゾンは浄水場内で作られ、オゾン接触池で水に注入されます。そしてカビ臭の元となる物質、色の素となる物質を分解します。

分解された有機物は、次の工程である生物活性炭によって処理されます。

 

自然界に生息している微生物の中には、アンモニアや有機物を分解する働きをするものがいます。生物活性炭処理では、カビ臭の元となる有機物やトリハロメタンを活性炭の吸着機能で除去します。取りのぞけなかった有機物やアンモニアは、活性炭に付着している微生物が分解処理してくれます。

オゾン処理、生物活性炭処理は、トリハロメタン生成の前駆物質の低減化、および塩素消費の増大となるアンモニアの硝化をもたらします。

結果、トリハロメタンの低減化に、大きな効果をあげています。

 

高度浄水処理は、全国の浄水場で順次導入が進んでいます。

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